友人の雰囲気の変化を感じてカマをかけてみると、案の定、彼女ができたらしい。そういうのに感づくのは、我ながら相変わらず鋭い。
で、さらに突っ込んでみたんだが、どうやら相手は三歳上の24歳。それは別に普通だが、2児の母だと言うのだ。
すでに離婚しているから不倫ではない。でも、僕は正直に「それはしんどいんちゃうか」って事を言った。彼は(僕もだが)恋愛経験が浅く、今回の彼女は二人目だ。
だが、僕らはもう本気で付き合うなら、やっぱり結婚と言う問題が付きまとってくる年代でもある。その時、ステップファミリーになると言う事も考えてそう思った。彼は「そんな難しい事は考えてない」と言った。
そういう奴だ。でも彼は続けた。「今、好きやから、ええねん」
それを言われたら、僕は何も言えない。
僕は多分、誰かを本気に好きになった事が無い。打算が常に付きまとっているから、しんどいんちゃうか、なんて言葉が出てきた。
以前の僕はたぶん、彼女を欲しがっていたのではなく、『彼女がいる』と言う肩書きが欲しかった。さらに言えば、セックスをしたかったのでもなく、『セックスをした』と言う肩書きが欲しかったのだと思う。真剣な性欲の方がよっぽど純粋だ。
だからこそ今、色々な事を真剣に考えるようになり、恋が出来なくなった。好きな人がいない今の僕は、恋ができない。昔なら出来た。
『本当に好きな人』『本気の恋』なんて幻想か? それを求めることは、愚行か?