想像力

君が居なくなる日を考えた。
僕の生活は、たぶんちっとも変わらない。
僕の生活の中で君が居る時間なんて、十分の一ほどしかない。
僕の全ての生活の中の、ちっぽけな君。
でもたぶん、そのちょっとの時間が、涙が出るほど大切なんだ。
君が居なくなる日を考えた。
君の生活は、たぶんちっとも変わらない。
君の生活の中で僕が居る時間なんて、十分の一ほどしかない。
君の全ての生活の中の、ちっぽけな僕。
もしかして、そのちょっとの時間を、君も大切に思ってくれているろうか?
君が居なくなる日を考えた。
ちっぽけな穴が僕の生活に空く日を考えた。
心に空いた穴の痛みを考えた。
部屋が広くなる日を考えた。
時間が長くなる日を考えた。
僕はたぶん、すぐに慣れる。
でもたぶん、それは僕じゃない。
君が居なくなる日を考えた。
僕が大切な物を落として、目の前に薄い膜が張られ、世界との距離が少し遠くなり、音がどこか遠くから聞こえる日。
たぶん晴れた日じゃないかな、と思う。
後姿から伸びる影が、僕から離れて、いつか見えなくなる。
そんな、終わりの日を考えた。
絶対に失ってはいけないと、強く心に決めた。