バレンタイン・イヴ

2月13日、夜。「ごめん」と言った。
たった2ヶ月足らずの時間すら超えられずに、ごめんと。
「そんなん嫌や」って泣く彼女の声を振り払って、喋った。
今までにこんなに好きになった相手は居ない。
一緒に居るだけで「何も欠けているものが無い」とまで思えた相手は居ない。
こんなに大きな幸せを夢見れた相手は居ない。でも。
居ないだけじゃない、これから先も、現れないかも知れない。
彼女となら幸せになれる気もしていた。それでも。
今この瞬間、僕の心を占めているのは彼女じゃなくなっていた。
今だけの事かも知れない。
いずれ後悔するかも知れない。
恋なんて思い込みかも知れない。
でも今のこの思い込みを裏切ったら、僕はウソツキになってしまう。
だからごめん。本当にごめん。
 
そして、ありがとう。