小説、乾くるみ「リピート」を読む。<ネタバレあり>
帯買い。帯コメントって大事やね。
うーん、まず一番最初に思ったんは、素人っぽい文章やなぁ、って事。自分の文章を見ているようだった。上手くないね。さらに言うと人物も『キャラ』的で、魅力が無いわけではないものの、浅いね。人数が多かったのもあるだろうけど。
それでも最後まで読まされたのは、設定の魅力だろう。10ヶ月前に戻ってもう一度人生をやり直せると言うのは、素晴らしく魅力的だ。ただ、それはリプレイと言う小説から拝借した設定のようで、評価はしていいのか分からない。まあ面白いかどうかと言う意味では問題ない。
さらに10ヶ月前に戻った後に、過去に戻った人間が次々に殺されていって、、、という展開も面白い。
問題があるのは、やはりどんでん返しの部分ではないか。確かに読めなかったわけで、そういうわけでは驚いた。それに、今までの不可解極まりない状況を一瞬にして一本の糸として繋いだ手腕は見事で、納得した。
ただ、予想を裏切られるのも、裏切られ方によっては面白く無い。昔読んだルパンシリーズで、鈍器で殺された人の謎を推理するのがあって、どう考えても誰も殺せる状況じゃなかった。結論から言うと、隕石がぶつかって死んだと言う。小学生の僕でもツッコミを入れた。
それ程ひどくは無いが、似たようなもので、この「リピート」も過去に戻った人が次々と殺されて行くが、一見つながりの無い別々の事故や殺人に思える。だが、過去に戻った人ばかり殺されるのはおかしい……。さて誰が殺しているのか、という展開で、でも(決定的な)犯人はいない。確かに納得させられるものの、少し釈然としない気分にもなった。
それでもまあ、読んで損はしない出来。もう何作かこの作者の読んでみよう。