記憶ドライブ

昨日は部活の納会で、石山で飲んでいたはずなのだが、気付いたら石山から自宅を通り越して、電車の終点の駅(米原)に居た。しかも時間は午前1時。電車もうねぇよ。
そんなわけで近くに居たヤクザみたいな怖い顔のおっさんに「彦根ってどっち方向ですか?」と聞いて歩き出す。おっさんによると1時間ぐらいで着くとの事だったので、まあ、大丈夫だろうと思った。
歩きながら、何がどうなったのか、考えた。酔っ払って記憶無くしたのは間違い無いのだけれども、いくらなんでも時間がおかしい。飲み会は九時までだったはずだ。そこから電車に乗って米原まで行ってしまったとして、時間は10時ごろのはずだ。さらにおかしいのは、一人だった事。体育会系の部活であるからつぶれる人なんて飲み会のたびに出る。でもちゃんと酔った人を家まで送り届ける事も忘れないはずだ。どういう事なのだろう。
10分ぐらい歩いていると、前にタクシーが止まっていて、中からさっき道を教えてくれたおっさんが現れた。
「兄ちゃん、乗っていきぃや、ワシも同じ方やし」
おお、神! 方向は一緒でも、僕の方が遠いってのに、わざわざそっち回って送ってくれた。タクシーの運ちゃんに聞いたら歩いて二時間近くかかると言われ、さっきの奴は大丈夫かと心配してくれてたらしい。おっさんは京都で飲んでて、気付いたら米原、家の方向も一緒やし、まあ縁やなと言っていた。僕は、えー、京都からですか、よく寝てましたね、とか喋っていた。酔っていて名前とかは聞かなかったけれど、お礼を言って、家に帰ってきた。いいおっさんだった、ありがとう。
翌朝、彼女からの電話で起きた。昨日歩きながら浮かんだ疑問を尋ねてみた。どうやら、僕は彼女に「Coは酔っているから、送っていく」と頑なに言い張り、京都まで送って行ったらしい。酔ってるのは自分だっつーの。そのため時間が遅くなり、かつ一人だったようだ。
これが僕のタチが悪いところで、泥酔してもはっきり喋る上にめちゃくちゃ行動する。今までで最高に酔った高校の時の飲み会では、その場に居た4人の女性に告白して4回振られたらしい。しかも別に酔って絡んで行った感じじゃなく、その人ら曰く「前から考えてたみたいなセリフ」で本格的に落としに行ってたらしい。全く記憶には無い。ふと自分が覚えていないのに、自分が行動しているってのの恐怖を物語りにしたいと思ったが、よく考えたらいくつでもあるな。SABUのMONDAYは名作。
彼女には「ちゃんと帰れるか心配やってんから」って怒られた。よく見ると、記憶の無かった時間帯にも何回も着信履歴が残っていた。心配かけてごめんと謝るしか無かったが、まあ、あのいいおっさんと「縁」もあった事だし、まあいいかな、と思った。