フォーンブース

映画「フォーンブース」を観る。ネタバレもあるよ。
おお、楽しかった。短い事もあり、緊張感が最後まで持続する映画。
主人公の追い詰められっぷりが尋常じゃない。どんどん状況が悪化していく様は、ハラハラさせる。そこは、主役の人の演技、と言うか表情も良かったのだと思う。電話ボックスと言う場所を選んだ事も、圧迫感をリアルに想像できて、緊張を増幅させていた。
ただ、気になる点も少し。まず、犯人の正体。断じて言うが、あれはどんでん返しではない。一度軽いフェイクを先にかけているから、一応ひっくり返す形になっているが、その実、最初からの流れで言えばなんらひっくり返せてない。つか、結局犯人の正体は不明だったわけで。まあ、あの流れではああいう犯人しか無理だけれど。
もう一つは、犯人を見つける過程。この部分が、一度犯人に見抜かれている「携帯電話を使う」と言う行為では、なんら面白みが無い。緊張感映画と言えばキューブなわけだが、キューブはこの「問題を解決しようとする過程」が非常にスリリングかつ段階的で、面白かった。フォーンブースでは、結局携帯電話をかけました、だけなのであって、これで本当に犯人を捕まえてしまっては、それはそれで拍子抜けする。この過程をもっと戦略的に進めれば、一度目のフェイクで「やった、犯人捕まった!」とスッキリ騙されるわけだ、こっちも。すると、ラストのひっくり返しも(もう少し考えないといけないが)生きてくるはずだ。
基本的にプロの仕事ではない。『将来有望な若手』辺りが撮ったのだろうか? またはCM監督出身とか。全然知らないけど。何だろう、ネットで素人が書いた大傑作、という感じ。優れた発想力と追い詰められる展開で緊迫感が持続はするが、完成度と言う点から見ると、まだまだ粗い。
でもまあ、面白かった。次作は完成度を上げて欲しい、と思ったりするが、完成度を上げると、元々あった緊迫感が消えてたりして、それじゃ意味無いってなったり。むぅ。