東京事変「大人(アダルト)」

正直、玉石混合と言った感じだが、良い曲は物凄く良いので良し。前作『教育』より良い。
でも、曲の善し悪しと言うより、椎名林檎女史の「歌」の善し悪しと言う感じがするのが気になった。なんて言うか、昔のように魂から唄っていない。ずいぶん「楽」に唄っている気がする。
四曲目の『スーパースター』なんて、勝訴ストリップ、カルキザーメン栗の花あたりのテンションで歌っていれば、かなりの名作になったはずの曲だ。でも、軽い。
でも林檎に唄う力が無くなったかと言うとそうではなく、ライブ映像のサンプルで30秒ほど紹介されていた『スーパースター』は物凄く、僕は音質の悪い30秒のサンプルで泣いてしまった。なのにアルバムに収録されたバージョンでは涙腺は刺激されなかった。熱がそこにない。
これが椎名林檎の成長だろうか? 確かにたびたび倒れていたりした十代の頃ほど力を注ぎ込んでは耐えられないのかも知れない。でもそのギリギリで生きて欲しかった。
今のままで行けば、椎名林檎の歌手生命は伸びるかも知れない。でも、それでいいのだろうか?
coccoの新曲がかなり明るい曲っぽい事も無関係では無い。どちらも身を切るようにして唄ってきた人々。彼女達のこれから歩く道は、いったいどんな道なのだろう。