クリスマス・イヴ

日付が変わったばかりのクリスマス・イヴ。
 
セックスをした。
 
一言の「愛してる」も言わない、体だけの。
 
 
不思議なもんだ、と思うのはこれで二回目で。
誰に教わらなくても出来るもんだ、と知った初めての時。
愛しくない人とでも俺は出来るんだ、って知ったこないだ。
 
無駄に手際がいいな、と体を動かしている頭とは別に考える。
今までこんな事した事も無いのに、横に居た相手の唇を奪って。
そのまま抱きすくめて。倒して。
まるで慣れた事のように、トントン話は進む。
 
「こういうの、嫌?」
 
どの口が言ってんだろね。
服の上からもうホック外しといてさ。
耳とか首とかさんざんせめた後でさ。
 
 
 
次の日の朝、相手が言ってた
「純君はずっと笑ってた」って。
いやらしい笑顔じゃなくて。
本当に楽しそうな満面の笑顔をずっとしてたって。
いつもの優しい笑顔のままだったんだって。
 
あれはだから、僕の裏の顔だとか。
気の迷いだったとか、あまつ別人格だとか。
 
そんなんじゃなくて、そのままの僕だ。
僕だ。
 
 
 
日付が変わったばかりのクリスマス・イヴ。
 
セックスをした。
 
一言の「愛してる」も言わない、体だけの。
 
体だけのセックスを、僕はした。