芸術に対抗しうる表現、それは生活である。
 
 
と、誰かが言ったのか言ってないのか。
とりあえず藤岡は言いました。
 
カンボジア3日目。
 
昨日に主要な観光を終えて、軽い気持ちで予定を組んだ予定。朝は、東南アジア最大の湖、トンレサップ湖へ行った。
今回の旅行、遺跡の凄さに圧倒され、僕が満足していたかと言うと、実はそうでもない。
て言うのは、遺跡にしても何にしても、この旅行で、僕は観光地しか動いていないのである。
『商品』としてのカンボジア。見た目を整えて、悪い部分を隠して、魅力的な売り文句で着飾った世界しか見ていなかったわけで。
完璧な『観光旅行』でしかない事は、少し残念に感じていた。
 
トンレサップ湖も観光地ではあるのだが、同時に、そこには生活があった。
人々が生きていて、色んな事を考えていて、笑ったり泣いたり、表情が変わる。
全く違う世界で『生きている』人々を見る事の面白さ!
これは、悲惨だろうが眩かろうが、関係ない。誤解を恐れず言おう。めちゃくちゃ面白い!!
 
日本だったらバラックと言われるであろうマイホームが並んで、泥水で服を洗う人が居て、日本より明るく子供たちが笑う。そんな世界。
人間。面白い。生活。素晴らしい。
 
そんなわけで、人々が生活する水上世界をボートで疾走。大満足である。ヘビを首に巻いたりもしました。
 
満足した僕らは、お土産でも探そうと、オールドマーケットへ向かいました。
まぁ、表通りに面した商店には、布やら、銀細工やらのお土産品が並んでいるわけです。そこで色々見て、それも面白かったのだけど、歩いて回る内、フラリと迷い込んだのです。
 
商店の裏に隠れて、道に面していない、ただっ広い空間。
そこには市場があった。
 
市場!
この響きってのは、もう、不思議なほど心を躍らせます。
何よりも活気に満ちていて、あと、めちゃくちゃ臭い空気に満ちていて、見た事無い食材が並んでて、豚が丸ごと解体されてて、泥水の中で蠢くカニが商品で!
無茶苦茶である。そして無茶苦茶面白い。
残念ながら、調理する用意なんてないし、生肉を持って帰るわけにも行かないし、何も買わなかったけど、見てるだけでもめちゃくちゃウキウキ。
 
もう、本当に生活ってのは面白い。異世界であっても、やっぱりそこには同じ時間を生きている人々が居て、僕らと違っても人生を過ごしている。そんな頭で考えたら当たり前の事を、目の前にして、肌で感じた感触!
 
古代建築の芸術としてのパワーが凄いと書いたが、生活に溢れるパワーってのは、また別格。攻撃的では無いのだけど、生命力と言う力。凄い。人間凄い。めちゃくちゃ汚い市場の美しいこと!
 
と言うわけで、3日目に血の通ったカンボジアを満喫できて。2日目までの観光としてのカンボジアももちろん楽しくて。素晴らしい旅行になりました。